TDI(Time Delay Integration)

1.TDIとは

通常のラインセンサは、CCDを一列に並べたものですが、TDIは更に縦方向にもCCDを複数列並べたものです。捉え方によっては、ラインセンサを複数列並べたものと見えるかもしれません。
一定速度で決められた方向に移動する物体を撮影するのに適しており、特に高速で移動する物体の撮影、ミクロン単位の微細な欠点を検出する場合に、その真価を発揮します。

◆高速移動する物体の撮影に◆

高速移動する物体を撮影する場合、通常のシャッタースピードではぶれた画像しか得られないため、シャッタースピードを上げることになります。しかし、シャッタースピードが上がると、どうしても露光時間が短くなり、その結果得られる画像は明るさが足らず不鮮明なものになってしまいます。このような、高速移動する物体を撮影するための2つの課題、「シャッタースピードを上げて、ぶれてない画像を得る」「十分な明るさをもった、感度の高い画像を得る」ことに適したCCDがTDI-CCDです。高速撮影による明るさが不足する場合でも、感度よく撮影できるようになります。

◆微細な欠点の検出も可能に◆

ミクロン単位の微細な欠点を検出する場合、隙間なく連続撮影を行う必要があります。やはり、シャッタースピードを上げて撮影する必要があるのですが、このような場合も、TDIセンサーによる撮影は有効です。

一定速度で一定方向に動いている物体の撮影に限るという前提がありますが、通常なら明るさ不足で十分な感度の画像を得ることが難しい場合でも、十分な感度の画像を得ることができるようになるという、大きなメリットがある ― それがTDIです。従来のCCDでは高解像度であるがゆえの感度不足の低輝度の画像しか得られませんでしたが、高解像度でありながら明るく鮮明な画像が得られるようになっています。TDIならば、「高速性」「高感度」「高解像度」の3要素が同時に実現できます。

2.TDIの原理

TDIでは、ライン上に配列されたCCDが、更に垂直方向にも複数列配置されています。複数列のCCDで得られた画像を積分露光することで、高い感度の画像を得ることができるようになります。

ベルトコンベアに乗っているなどで、一定速度、一定方向に移動する対象物ならば、撮影対象物の移動方向・速度とCCDの電荷転送の方向・速度を合わせることで、CCDの垂直段の数だけ対象物を繰り返し露光・撮影させます。

1列目のCCDで得られた撮像は、そのまま2列目のCCDに転送されます。2列目のCCDでは、前列から送られてきた撮像に、2列目のCCDで得られた撮像を加算して蓄積し、更に3列目のCCDに転送されます。n列目のCCDでは、n列目のCCDで得られた撮像を、(n-1)列目までで累積された撮像に加算して、(n+1)列目に転送します。すなわち、x列のCCDを並べたTDIセンサでは、得られた撮像はx倍となって蓄積されることになります。x列の積分露光を行う場合、x倍のコントラストと√xのノイズ軽減が期待できます。

この結果、格段に高い感度が得られ、高速性と高感度を両立させています。
従来のCCDでは、高解像度であるがゆえの感度不足の低輝度の画像しか得られなかったのを、積分露光することにより、高解像度でありながら明るく鮮明な画像が得られるようになっています。明るさ不足を補うために、撮影対象物の移動速度を落とす、あるいは停止させてしまうなどの従来方式と比べると、高速かつ短時間で処理ができるようになります。

3.TDIの用途

  • 低照度下での高速撮像
  • 大型対象物の高速撮像
  • 高速移動サンプルの連続撮像
  • 電子部品製造ライン検査
  • 半導体検査
  • フラットパネル検査

DNAチップの画像を撮影する場合、蛍光現像を高スループットで処理したいとしても、強い励起光を当てると蛍光色素の退色を速めてしまうというジレンマがあります。このような場合でも、TDIならば弱い蛍光でも高速撮像が可能です。

FPDガラス表面のゴミやキズを高速に検出したいとしても、検出できる散乱光はとても微弱なものです。しかしながら、その微弱な散乱光を積分露光できるTDIなら、高精度かつ高速な検出が可能となります。

尚、TDIでは、移動する対象を撮影するという性格上、カメラ技術だけでなく。光学技術、搬送技術なども含めた、トータルなソリューション力が必要となります。