ワイドバンド・カメラ、マルチバンド・カメラ

1.肉眼の限界、従来のカメラの限界

人の眼で捉えられる光、すなわち可視光線の波長は、短波長側で360nm?400nm、長波長側で760nm?830nmとされておりいます。(JIS Z8120の定義より)言うまでもなく、全ての波長の光を捉えているわけではありません。

また、全ての色を捉えているわけでもありません。基本となる3原色の波長は捉えていますが、それ以外の色は、極端な話、脳内で合成しているのです。

人間の網膜にはS錐体(青錐体)、M錐体(緑錐体)、L錐体(赤錐体)と呼ばれる、特定の波長に反応する色識別のための細胞があります。これらの3つの錐体細胞からの信号の割合によって、大脳皮質は雑多な色を判別しています。因みに、S錐体(青錐体)、M錐体(緑錐体)、L錐体(赤錐体)はそれぞれ、450nm、535nm、570nmの波長に最も反応するようになっています。

人間には、3つの錐体細胞しかないため、3原色の組合せで雑多な色を表現しようとしています。しかしながら、鳥類は4種類の錐体を持つ一方で、多くの哺乳類は2つしか錐体を持っていません。これらの生物は、4原色あるいは2原色で世界の色を把握していると言えるかもしれません。

肉眼を元に発展してきた従来のカメラも、肉眼と同じく捉えられる波長や把握できる原色の数は同じです。

白黒カメラでは、波長400nmから800nm程度の範囲を1枚の画像として記録します。

更に、カラーカメラでは、肉眼が捉える3原色に倣って青・緑・赤に分解し、3枚の画像として記録します。
・青:波長400nmから500nm
・緑:波長500nmから600nm
・赤:波長550nmから

これらに対し、ワイドバンド・カメラでは、いわゆる不可視光線の紫外線、赤外線の波長でも撮像することが出来ます。

また、マルチバンド・カメラでは、3原色よりもはるかに多い、波長ごとに128分割した画像として記録します。これは128原色で撮像していると言い変えることが出来るのかもしれません。肉眼では3原色の組合せとして把握される雑多な色も、マルチバンド・カメラならどの波長を強く反射しているかを見極めることができ、人間の眼や従来のカメラでは認識できなかった欠点、色ムラなどを高精度に捉えることが出来るようになります。

2.ワイドバンド・カメラとは

人間が捉えることが出来る可視光線の波長が400nmから700nm程度までです。これに対して、ランウェイブ(株)が提供する検査カメラシステムR-Wideシリーズでは200nmから1200nmまでの間を撮像することができます。

例えば、サビ防止、腐食防止などで無色透明な塗料を製品表面に塗る場合がありますが、無色であるがゆえにヌリムラがないか、塗装忘れがないかは人間の目では確認できません。しかしながら、赤外線や紫外線などの不可視光線でなら検出できる可能性があります。このような無色透明な塗料のヌリムラを検出する場合などに、不可視光線を捉えることが出来るワイドバンド・カメラの利用が有効です。

R-Wideシリーズの持つワイドバンド・カメラの機能によって、可視光線での外観検査・表面検査はもちろんのこと、不可視光線をも使って外観検査・表面検査が可能なため、人間の目では捉えることが出来ない欠点も浮き彫りになります。

3.マルチバンド・カメラとは

R-Wideシリーズは、上記のようなワイドバンド機能に加え、マルチバンド・カメラの機能を備えています。200nmから1200nmの波長を128分割し、128枚の画像に分解して撮像することが可能です。

肉眼では、S錐体(青錐体)、M錐体(緑錐体)、L錐体(赤錐体)が450nm、535nm、570nmの波長を中心に反応し、それらの色信号の組合せで雑多な色を判断しています。

マルチバンド・カメラなら、1画像当り8nm弱の波長幅に集中して撮像し、どの波長の光を強く反射しているのかを、肉眼をはるかにしのぐ精度で測定することが出来るようになります。

更に、128分割して撮影された画像データを任意に組み合わせることで、一般的なRGBの3原色画像はもちろん、ハイコントラスト画像を得ることが出来ます。

4.ランウェイブが提供する、更なる高画質、高精度の検査カメラ

このようなワイドバンド・カメラ、マルチバンド・カメラの機能により、従来の外観検査装置、表面検査装置では捉えることが出来なかった欠点を、より高精度で捉えることが出来るようになります。

一方で、ワイドバンド・カメラ、マルチバンド・カメラ機能を搭載すると、撮像枚数が増加し、結果的に必要となるマシン・スペックは跳ね上がり、撮像結果をカメラからサーバへのデータ転送などの処理速度が遅くなる事態を招いてします。

しかしながら、R-Wideシリーズではプロセッサだけでなくカメラ側にも画像処理ボードを搭載し、撮像後すぐに欠点検出を行い、欠点データだけをプロセッサに転送する仕組みになっています。このため、データ転送量が少なく、パフォーマンスがよいのが特徴です。多くの検査装置ではソフトウェアによる処理に重きを置くが故に、全ての画像データをプロセッサで処理する傾向がありますが、ハード技術にも強いランウェイブでは、カメラ内部に画像処理ボードを搭載することにより、検査システム全体で最高のパフォーマンスが発揮できるように最適化されています。